2009年05月26日

なぜか相次いで、小説の読み方・書き方の本

小説の読み方とか書き方とか、そういう指南書っぽい本を続けざまに読んだ。


平野啓一郎
小説の読み方~感想が語れる着眼点~ (PHP新書)

柴田元幸 高橋源一郎
柴田さんと高橋さんの小説の読み方、書き方、訳し方

島田雅彦
小説作法ABC (新潮選書)

平野啓一郎の『小説の読み方』は、綿矢りさ『蹴りたい背中』、伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』、美嘉『恋空』などのベストセラーを含めた9編の小説を取り上げる。
その抜粋を分析し、文体がどんな効果を上げているか、読者をひきつけるのはどんなところなのか、などを解説している。

なるほどねー、作家って、そういうことを考えながら書くんだー、とてもわかりやすく楽しめる。
ただ、「感想が語れるか」というと、違う気がするなあ。これを読んで理解できても、じゃあ別の作品を平野氏のように解説できるかというと違うし、分析が感想につながるとも限らないし。
これを考え出すときっと、「感想を語る」とは何ぞや、てとこに行き着いてしまうんだろうけれど。

『柴田さんと高橋さんの小説の読み方、書き方、訳し方』は、
人気翻訳家と現代日本文学の第一人者の対談形式。

読み始めたら、なんだか、難しくて絶望的な気持ちになってしまった。
だって、二人が話題にする本の半分どころか、ほとんど何も読んでないんだもの。自分が好きな分野だと思っているところに、こんなにも知らないことがたっぷりある。なんだかクラクラしてきた。

そんな気持ちで読んでいたら、「あ、高橋源一郎が知らないって言ってて、あたしが読んだことのある本があるじゃないのー」てなところに反応するようになり……(イスマエル・カダレの『夢宮殿』)、なんだか不健全な感じ方をしてしまった。
それでも、後半、「小説の読み方」(日本文学編)の章に入ってくると、知らない単語が比較的減るためか素直に楽しめた。

柴田元幸の
たぶん大江健三郎までは学生が「大江の思想は……」ということを考えていたかもしれないんだけど、村上春樹さんが出てきてからは「村上の思想は……」といったことは誰も言わなくなって、みんなが「私の村上ベストスリー」とかを言うようになった。
という言葉はなるほど、コンパクトに文学の転換期を表現してるな。

『小説作法ABC』は、大学で創作の授業もしているらしい島田雅彦の小説を書くためのエクササイズ。1章が1回の講義にあたる形式だ。

小説家って、いろんな訓練やら物の見方やらしていないとサビつくんだな。
この本は人に小説を書かせるというよりも、この本を読んで、こんなにエクササイズをこなして書く練習物語る訓練をしなきゃいけないなんて大変だ、と中途半端な小説家志望者をふるい落とすことに機能を発揮するような気もする。

同時期に、人気の作家・翻訳家たちの指南書が出た理由はよくわからない。
たぶんただの偶然だろう。
ともかく、平野が、この対談の高橋の発言に言及しているところもあり、高橋が島田の名前を出すこともあり、互いにリンクしてる感じもあって、私は、同時期に出た偶然を楽しめた。

しかし、書いて形にするというのは、恐ろしい作業なんだなあ、と思う。
どこかで憧れてはいるけれど、私にもいつか「作品」てなものを書くことがあるんだろうか。
posted by chiyo at 22:12| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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