2009年07月01日

「日本のWebは残念」と言った場合の「残念」の意味は?

ここ1年くらいだろうか。もっと前からだろうか。
「残念」という言葉が、今までとちょっと違う意味合いで使われることがある。

「期待はずれな感じ」や「あー、なんだかなあ、とほほ」(とほほって言い方も古いが!)、
ていう脱力を伴った「がっかりなもの」を表すときに「残念」という言い方をする。
芸人さんがだめな人をからかうのにも使って、私が思い出すところでは「千原兄弟」の兄・せいじの方が、ジュニアのキレに比べて、なんだかパッとしないキャラであることを「千原兄弟の残念な兄」と表現されていた。
アイドル好きの人は、外見はいいのに中身がどうしようもなく天然だと「残念な子」という言い方をするらしい。実際に使われているところを見たり聞いたりしたことはないのだけれど。

「残念」というのは、もともと、すでに完了したもの、状況が続いていてもある時間で一度完了しているとして区切った状況や出来事に対して、希望通りではない結果になってしまって、「心残りだ」と表現する言葉で、人やあるものの性質全体について形容すると、目の前にいるものを「もう終わった」と表しているようなもので、言葉の使い方としてミスマッチなのだ。
だからこそ、「残念な誰々」という表現は、(たとえば「終わってる」と)相手を揶揄する意味を持ち、ミスマッチゆえに面白さが生まれるのだと思う。

で。
一月くらい前から物議を醸しているらしい梅田望夫氏の、日本のWebは「残念」発言。
私はいわゆるウェブ社会のことはよく知らないし、梅田さんの考えや、それに対する様々な人の意見の細かいところは置いておく。

このITメディアの記事で、「残念」という言葉が使われているのは、見出しの他は、
リード部分の
・日本のWebが「米国とはずいぶん違うものになっちゃった」と残念がる
というところ、
・倒置法になっているけれど、「英語圏のネット空間と日本語圏のネット空間がずいぶん違う物になっちゃったなと。」残念に思っている。
・“上の人”が隠れて表に出てこない、という日本の現実に対して残念だという思いはある
という3箇所だ。

インタビューを文章にする場合、言った通りの表現で書くことはまずないので、梅田さんが実際にどのように言葉を選んだのかは、こちらではわからない。
ただ、梅田さんが話していることとして出てくる「残念」は、今までのところの日本社会や日本のウェブのある具体的な状況・出来事について、「残念だ」という意味で、昔から使われている「残念」と同じ意味だ。

しかし、見出しになった 日本のWebは「残念」 という言い方は、日本のWeb界の個々の出来事に対して表する言い方ではなく、日本のWebというものの性質そのものを「残念」と形容する、揶揄した流行りの言い方である「残念」の方だ。


この梅田さんの発言に、多くの人がショックを受けて感情的な反応すら呼んだのは、ある部分はこの見出しのせいじゃないかと思う。
ひょっとしたら、見出しのような言い方を梅田さん本人がしたのかもしれないけれど、可能性としては低いと思う。
「残念」という言葉がインタビューの中で多く使われたので、書く人がそれを短く見出しにしてまとめたら、今の日本の言語環境では意味合いが違ってしまった、てところじゃないだろうか。

この見出しに、「日本のWeb」が揶揄されたように、不当におとしめられたように感じる人がいて、強い拒否反応があったのだろう。
だから、「梅田、お前のが残念」とか「そんなことよりはてぶのが残念」だとか、「残念」という言葉を使った罵倒し合いのような、見出しリンクが世に飛び交うことになった、と考えられる。

もちろん、もっと冷静に議論している人もたくさんいるだろうが、ここではそういう話はしない。
ただ、門外漢としてこの記事を読むと、たぶん、そういう言葉の使い方に特に敏感じゃない人が書いたから(見出しをつけたから)、意図しないまま結果的に扇情的になってしまった、そんな風に思うのだ。
posted by chiyo at 01:53| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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