2011年05月03日

シルヴァン・ショメ×ジャック・タチ『イリュージョニスト』

『ベルヴィル・ランデブー』というキュートなフレンチアニメーションをご存知だろうか。
『ベルヴィル・ランデブー』を作ったシルヴァン・ショメ監督の新作『イリュージョニスト』は、ジャック・タチの遺した脚本を、ショメがアニメ化したものだ。

年老いてそろそろ客にも飽きられたパリの手品師タチシェフが、イギリスに渡って興業先を探していく物語だ。途中で出会った少女アリスとの交流が、ちょっと変わった運命を導く。

『ベルヴィル・ランデブー』は、猥雑でかつかわいらしかったのが、今回はそこに洗練が加わって、とにかく映像が美しい。

私のメルマガで取り上げる作品は、一応「ヨーロッパの風景を観る映画」という縛りを作っているので(といっても例外はいくつかありますけどもね)、どこの国とも判別つかないものやアニメーションは取り上げないのだけれど、そういう意味で『イリュージョニスト』は、景色を堪能できて取り上げるにふさわしい作品と言ってもいい。

ロンドンのどんよりした空気、潮のにおいのただよう海辺の町、華やいだショーウインドウが誘うエジンバラ。どれもこれも自分の心にある「町」とどこかで符合してさらに美しく響く。

変わっていく世の中と老手品師、手品師を魔法使いと思い込む無邪気な少女。切なさとおかしみは、スクリーンから観た者の心に移ってじわじわと、長く心を揺らめかせ続けるだろう。

タチの『ぼくの伯父さん』がちらりと登場するサービスも粋だ。

苦言をひとつ。そもそもセリフが極端に少ない作品で、会話の中身がわからなくても一向に困ることはなし。字幕はせっかくの美しい画をじゃましてしかいなかった。字幕なくていいんじゃないかな。


タグ:フランス
posted by chiyo at 13:30| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | その他映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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