欧 州 映 画 紀 行
No.253 12.12.24配信
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「ここじゃない何処か」に行ってしまいたい、あなたのための映画案内。
週末は、ビデオ鑑賞でヨーロッパに逃避旅行しませんか?
フランス映画を中心に、おすすめの欧州映画をご紹介いたします。
★ クリスマスは、苦かったり、甘かったり、しょっぱかったり ★
作品はこちら
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タイトル:『クリスマスのその夜に』
製作:ノルウェー・ドイツ・スウェーデン/2010年
原題:Hjem til ju 英語題:Home for Christmas
監督・脚本:ベント・ハーメル(Bent Hamer)
出演:トロンド・ファウサ・アウルヴォーグ、フリチョフ・ソーハイム、
クリスティーネ・ルイ・シュレッテバッケン、セシル・モスリ、
サラ・ビントゥ・サコール、モッテン・イルセン・リースネス、
ニーナ・アンドレセン=ボールド、ライダル・ソーレンセン、
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■STORY&COMMENT
部屋を飾りつけて恋人を待つ女、家族の食事よりもガールフレンドと時を過ごしたい少年、妻に追い出されて子どもにプレゼントも渡せないと嘆く男、その愚痴を聞きながら、自分はクリスマスも仕事なんてと妻に小言をいわれる医師……クリスマスイブを迎えたノルウェーの小さな町での群像劇。
ちょうどクリスマスイブということで、北欧からのクリスマスストーリ−を。
誰が主役というのではなく、深刻なものから、ありふれたものまで、いろいろな事情を抱えた人々のクリスマスの物語。それぞれの物語のシーンが、スケッチのように少しずつ差し込まれて進んでいく。それぞれの事情や登場人物同士の関係性は、そのスケッチが何度か重ねられて映画が進んでいくうちに、明らかになっていくから、ストーリー説明をしていくと、結局ネタバレのようになってしまう。
ということで、細かいストーリーはここではいわないが、「家族と過ごす『べき』クリスマス」をめぐって、故郷を目指す人、家に帰れない人、家族と過ごせない人、過ごさない人などなど。ちょっと苦かったり、甘かったり、しょっぱかったり、希望が見えたり、ため息が出たりと、いろんな味の情景が見える作品だ。
日本人にとっては、この「クリスマス」は大晦日やお正月に近くて、年末年始に観るとちょうどよいのではないかな。
監督のベント・ハーメルの作風は、『卵の番人』『キッチン・ストーリー』『ホルテンさんのはじめての冒険 』、ちょっとシュールだったり、温かいユーモアの中にもブラックで辛辣なところが隠れていたり、コメディではあるけれど、かみしめれば実は苦みが強かったり、なんてイメージを私は持っている。
上にも書いたように一味じゃない点はその通りだけれど、スケッチを重ねる群像劇である分、軽い風味で、さらりと観やすくなっていると思う。忙しさからすっと力を抜きたい年末に、ぜひ。
■COLUMN
年末年始というのは、毎年どうも苦手だ。
「年内にこの仕事だけは済ませなきゃ」だ、クリスマスだ、大晦日だ、お正月だ、と、本来のスケジュール(というものがあるのかわからないが)よりも、暦を優先しないといけない場面が短期間に集中する。
クリスマスとなれば、あー、今日は疲れたからお弁当でも買って適当に済ませておこう、ではなんだかよくないような気がするし(別に気にしなきゃいいんだろうけど)、年末は特にやりたくなくても部屋をきれいにしないと何か悪いことをしている気分になるし(年中そうじなんかしたくないといってサボっているんだけど)、大晦日は特に食べたくなくても蕎麦を食べないと早死にするらしく(違ったっけ?)、年末に3倍忙しくなろうとも、大晦日三が日くらいは仕事を休める体制にしないと文化的な生活ではない気がするし(フリーランスだから、スケジュールは自分で調整しないと)、人混みに突進してでもお正月の食材を買って食べねば、マメじゃなくなって先を見通せなくなるらしいし
(違ったっけ?)、なんでまたこのせわしい時に、いつもよりさらに忙しくなることをしなきゃあならんのだ、の気分でウツウツしてくるのだ。
時間にも気分にもよゆうのある時なら、キラキラしたディナーも、めったに使わないお重にいろいろ作って詰めるのも、きっと楽しいよ、なんで自分のよゆうよりもカレンダーに合わせないといかんのだ。
と愚痴りはじめて、毎年反省する。時間にも気分にもよゆうのある時なんて、なかなかないわけで、日付を理由にしてこそやれることがあって、無理にでも節目をつけることが必要なんだろうなあ、と。
そんなわけで、愚痴ってせわしなくも、平和な年末年始が今年も過ごせますよう……。ああ、年賀状にはまだまったく手を付けていないなあ。
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ラベル:北欧