2007年02月22日

No.122 親密すぎるうちあけ話

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欧 州 映 画 紀 行
                 No.122 07.02.22配信
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「ここじゃない何処か」に行ってしまいたい、あなたのための映画案内。
週末は、ビデオ鑑賞でヨーロッパに逃避旅行しませんか?
フランス映画を中心に、おすすめの欧州映画をご紹介いたします。

★ 間違えてノックした扉の向こうに ★

作品はこちら
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タイトル:『親密すぎるうちあけ話』
製作:フランス/2004年
原題:Confidences trop intimes 英語題:Intimate Strangers

監督:パトリス・ルコント(Patrice Leconte)
出演:サンドリーヌ・ボネール、ファブリス・ルキーニ、
   ミシェル・デュショーソワ 、アンヌ・ブロシェ、ジルベール・メルキ
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■STORY&COMMENT
パリのアパルトマン。アンナは精神科医を訪ねるはずが、ドアを間違え税理士
ウィリアムを訪ねてしまう。結婚生活がうまくいかないことを突然話し始める
アンナ。ウィリアムは離婚と税金の相談かと思い、そのまま聞いてしまう。
夫との性関係の悩みを話すアンナに、ウィリアムはようやく、同じ階のモニエ
医師と間違えていることに気づくが、好奇心も手伝って頼まれるままに「次回
の予約」を入れてしまう。

定期的にやってきては夫婦の性生活の悩みを話す美しい女性に、ウィリアムは
心を乱される。「うちあけ話」でしか知らない相手に興味が募る。
話の内容だけではない。そもそもアンナの話は本当なのか。夫は本当に存在し
ているのか。興味とともに疑念もますます降り積もる。

しだいに、話を聞いてもらう女が必要としている「セラピー」なのか、それと
も話を聞く男が欲しているものなのか、わからなくなり、よく知らない相手へ
の興味は、欲望をたたえた恋愛感情に変わる。

何かが起こりそうなあやしげな音楽にも彩られ、不思議な会談はミステリアス
に、ヌードのシーンはひとつもないのに実にエロティックに、物語はほどよい
緊張で進む。

でも、不思議に不思議に誘導されて、観た後は、心地よい浮遊感とじんわり暖
かさが残るんだなあ。
展開が想像できないでしょ! 観て確かめてください、ぜひ。

■COLUMN
ミステリアスで知的にエロティックな男女関係の物語だけれど、コミカルな場
面も散りばめられていて、また、二人の緊迫した関係性を追っているようでい
て、脇のキャラクターがとてもいいのも、この作品の魅力だと思う。

ウィリアムは、父の職業である税理士を<職場兼住居>込みで継いで、この30
年移動したことがない。子どもの頃から同じアパルトマンに住み、独身で地味
に暮らす、ブリキのおもちゃが好きな真面目な男だ。だからといってまるで女っ
気がないというわけではなく、最近長くつきあったパートナーと別れたばかり。
その元彼女ジャンヌとは、アンナの話をすぐに報告しに行ったり、どっちが自
分を振ったかでしょっちゅう言い合いになるような腐れ縁気味の関係だ。

この作品のなかのもう一つのカップル、ジャンヌとウィリアムのサイドストー
リーもいい。
ジャンヌは、ウィリアムとは正反対のスポーツマンタイプの恋人とつきあい出
すけれど、ウィリアムをどこかで忘れられない様子。ウィリアムとの関係への
ジャンヌの結末のつけ方は、微妙なお年頃の女性だったら、もっとも感情移入
して共感できるポイントかもしれない。

同じ階のモニエ医師もなかなかのキャラクターの持ち主。アンナとの会談を、
結局はウィリアムが彼に話しに行くことになるのだが、どっしりと落ち着いて
ウィリアムの話を受け止めるかと思えば、逆に混乱させることを言ってみるひょ
うひょうとした分析医だ。どんな話をしてもも必ず最後にお代を頂戴する、ちゃっかりぶりもいい味だ。

「窓から向かいの部屋の様子を眺める」ルコント(+サンドリーヌ・ボネール)
好きへのサービスかとも思われる仕掛けもしっかり。

本筋とは少し離れる部分もていねいに作り込まれている作品は、作り手の意志
をがっちり伝えてもらった気がして、観ていてうれしくなる。その分、その作
品をダシに何か書こうなんて思うと、けっこうな緊張を強いられるのだけれど。

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編集・発行:あんどうちよ

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Copyright(C)2004-2007 Chiyo ANDO

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ラベル:フランス
posted by chiyo at 22:40| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画メルマガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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