2013年05月10日

No.256 最強のふたり

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欧 州 映 画 紀 行
             No.256   13.05.10配信
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お久しぶりでございます。
あまりにも配信がないので「まぐまぐ!」さんにも二度ほど、配信しないと廃
刊にするぞと怒られ、だからというのではないのですけれども、4カ月ぶりくら
いの配信でしょうか。確かに間があきすぎですね。
もう少し、頻度を高めるように頑張りますが、基本は「ポツポツとたまに配信」
となりそうです。ごめんなさい。

「ここじゃない何処か」に行ってしまいたい、あなたのための映画案内。
週末は、ビデオ鑑賞でヨーロッパに逃避旅行しませんか?
フランス映画を中心に、おすすめの欧州映画をご紹介いたします。

★ よき化学変化のバランスは ★

作品はこちら
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タイトル:『最強のふたり』
製作:フランス/2011年
原題:Intouchables 英語題:Untouchable

監督・脚本:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
     (Eric Toledano, Olivier Nakache)
出演:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、
   アンヌ・ル・ニ、オドレイ・フルーロ
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■STORY&COMMENT
パラグライダーの事故で、首から下が麻痺してしまったフィリップ。大富豪で
ある彼は、使用人を雇い、生活の介助を受けながら暮らしている。新しい介護
人を募集したところ、面接には多くの資格者の中に混じって、失業手当をもら
うために面接を受けたアフリカ系の青年ドリスがいた。
まったく採用される気のない態度のドリスに興味をもって、フィリップは気ま
ぐれに彼を採用する。介護の経験はなく、鳴っている電話をそのまま差し出す
気づかいの抜けたドリスだが、周囲の腫れ物にさわるような態度にうんざり気
味のフィリップはドリスを気に入って、仲の良い友人同士になっていく。

ずいぶんヒットしたらしい作品。皆さんもうご覧になったかしら。DVDの発売か
らもちょっと時間が経ってしまって、今さら感もあるし、私が特に何かコメン
トすることももうないよなあ、と思うのだけれど、だって私はー昨日観たんだ
もん。
すがすがしくて、嫌みがなくて、みんなが気持ちよくなれる作品で、そういう
万人受けするものは、毒のなさが物足りなくなることもあるけれど、フィリッ
プの偏屈ぶり(と、特筆するほどのものでもないか)と、障害者だからと言っ
て遠慮しないドリスのジョークが、小気味よさを補っている。

基本的には、「ボーイ・ミーツ・ガール」じゃないが、世界の違う二人の出会
いの物語。育ってきた環境がまったく違い、趣味も異なる、暮らす世界の違う
二人が出会って化学変化を起こす(どこか鬱屈していたフィリップが外に開か
れていくにつれ、当の二人以外の周りの人たちも少しずつ変わっていったり)。
この映画がヒットするということは、そんな物語が、多くの支持を受けるのだ
なあと改めて思う。出会った二人の変化の様子を眺めるのは心地よく、自分自
身にも何かの突破口が開かれる気分にしてくれる。
そして、そんなにも親しくウマが合う人に会えることへの、多くの人の憧れも
感じる。もちろん私自身も。

何となく、お金はあるけれど障害があってモノトーンな暮らしだったフィリッ
プに、新しい風と彩りが吹き込まれた、という視点から考えてしまいがちだけ
れど、貧しい暮らしの中で複雑な家庭環境に苦しみ、刑務所に入っていたドリ
スが、世の中や世間の人に受け入れられていく物語でもある。よき「化学変化」
は、どちらかに偏るアンバランスではきれいには起きないものなのだろう。


■COLUMN
実話にもとづく話と冒頭で書かれ、作品の最後には、モデルとなったふたりの
映像がはさみこまれる。
何となくこの実話の強調がしっくりこない感じがして、ちょっと調べてみた。
しっくりこないというのは、「事実は小説より奇なり」みたいな大きな出来事
が起こったわけではなく、事実であることを強調することにあまり意味を感じ
なかったから。ひょっとしたらもともと人々に知られている人がモデルになっ
ているということが重要なのかな、という気がした。

調べた結果、といってもWikipedia程度で作品プロフィールはすぐに探すことが
できた。フィリップのモデルであるフィリップ・ポッゾ・ディ・ボルゴ氏が介
助人のアブデル・ヤスミン・セロー氏とのことを本にしたため、それをきっか
けにテレビのドキュメンタリー番組で2度ほどふたりが取り上げられ、そのドキュ
メンタリーをこの作品の監督が観たことをきっかけに、映画制作されたらしい。
だから、フランスでは有名人ではなくとも、「ああ、この人たちテレビでみた
ことあるー」くらいの人ではあるのかもしれない。
もともとの本も、現在では映画の1シーンを表紙に飾って売られている。

そのドキュメンタリー番組の引用をところどころはさみながら、最新の映像や
インタビューを交えたドキュメンタリー番組も新たにつくられ放送されたよう
だ。
『最強のふたり』が完成し、モデルとなったふたりがシャンゼリゼの劇場に作
品を観に行って(劇場の前では取材陣がおおぜいカメラを構えて撮影タイムが
ある)、出演者と会談する様子や、フィリップの家のブドウ畑、祖父の住んで
いた屋敷などが登場するその番組の動画は、合法的にアップされたものかどう
か確認ができなかったけれど、以下のURLで観られる。
https://www.youtube.com/watch?v=pvvVORUCVLg

おそらく、作品全体が「実話」なのではなく、要所要所のエピソードを入れつ
つ、きれいにオチのつくコメディにしたのだろうと思う。そして、きっとモデ
ルであるフィリップ・ポッゾ・ディ・ボルゴ氏もそのようなものを望んだのだ
ろう。

最後に1つ。話は変わるが、この作品のことを考えていて、少し前に読んだ本
のことを思い出した。脳性麻痺患者であり小児科医である作者が、自らの経験
から、身体について、介助し/されることや幼い頃から受けてきたリハビリに
ついて綴ったものだ。身体の持つ/感じる「官能」という視点から書かれた刺
激的な本だった。
『リハビリの夜』熊谷晋一郎
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★DVD
『最強のふたり』(DVD)¥ 2,952
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