2016年01月28日

No.265 彼は秘密の女ともだち

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欧 州 映 画 紀 行
            No.265   16.01.28配信
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「ここじゃない何処か」に行ってしまいたい、あなたのための映画案内。
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フランス映画を中心に、おすすめの欧州映画をご紹介いたします。

★ 女性とは。女性性とは。 ★

作品はこちら
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タイトル:『彼は秘密の女ともだち』
製作:フランス/2014年
原題:Une nouvelle amie 英語題:The New Girlfriend

監督・脚色:フランソワ・オゾン(François Ozon)
出演:ロマン・デュリス、アナイス・ドゥムースティエ、
   ラファエル・ペルソナーズ、イジルド・ル・ベスコ
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■STORY&COMMENT
クレールは、子供の頃からいっしょに過ごしてきた親友のローラを亡くして哀しみに暮れていた。残された夫のダヴィッドと生まれて間もない娘を護ると約束したクレールが、二人の様子を見に家を訪ねると、そこにはウィッグををつけ、ローラの服を着て赤ん坊をあやすダヴィッドの姿が。
「このことはローラも知っていたこと。女性の服を着たい」と打ち明けられ、戸惑うも、女装するダヴィッドを「ヴィルジニア」と名づけて、夫には内緒で「女同士の友情」を育んでいく。

ダヴィッドを演じるのは、現在のフランス映画には欠かせないロマン・デュリス。だんだん女装(特にメイク)がうまくなってはいくものの、ちょうどよい塩梅の「どうみても男性の女装姿」を、化けすぎずによく表現している。ダヴィッドとして普通の男性としてふるまうときと、ヴィルジニアになっているとき、その違いは、服装やメイクだけでなく、ちょっとしたしぐさにも表れる。眺めていて、女性っぽさというのは、そういうところから見えるのね、と改めて気づいたりも。

クレールは一度は理解して仲よく女友達として出かけたりするとはいえ、夫にダヴィッドと浮気しているのではないかと疑われて釈明することになれば、
「女装よりもゲイのがマシ!」とゲイだとごまかすことにして、結局女装のことは言い出せず、本当に受け入れることは、簡単には進まない。

「女装」をめぐるコミカルなドラマかとなんとなく思っていたが、後半から物語はだんだんと、男女のアイデンティティ、愛の形、重いテーマがずっしりと横たわるようになる。
どこに着地するのだろうと気を揉んで観ていたら、ラストは「ああそうなるんだ」と、宿題をつきつけられた気分だった。

■COLUMN
もう昨年のことになるが、近所の名画座で、この映画と『ボヴァリー夫人とパン屋』の二本立てが上映されていて観た作品だ。二本とも面白く気に入ったのだけれど、今回この作品の方を取り上げたのは、DVDリリースがもうすぐらしいから。

この二本立てを観に行ったのは、なんとなく「ファブリス・ルキーニが主演してるらしいボヴァリー夫人…」が目当てで、あまり事前に情報を仕入れていなかった。
その状態でこの作品を観ていたら、ふと、「これってペドロ・アルモドバル監督だっけ?」と錯覚しかけた。性別をめぐるテーマや、死から物語がはじまる展開、葬儀のシーンなどは『オール・アバウト・マイ・マザー』を彷彿とさせ、『トーク・トゥ・ハー』を連想させるシーンもある。

私は細かいところまではわからないけれど、オゾン監督はわりと他の映画の引用をわかりやすく入れ込んでくることがあり、両監督の作品をよく知っている人なら、もっといろいろと引用や目くばせを見つけることができるんじゃないだろうか。

そんな男/女、同性愛/異性愛、その固定観念を疑ったり、その境界を考えたり、なんてテーマの作品といっていいと思うが、いや、だからこそなのかもしれないが、「女性」の描き方が平板なんじゃないかなとも思う。

クレールとヴィルジニアの女同士の買い物は、あまりにもステレオタイプの女同士の買い物だし(もちろん、物語としてあそこにステレオタイプすぎる女同士の買い物が入ることが必要なのはわかる、が)、ヴィルジニアにつき合ううちに、だんだんと華やかな雰囲気になっていくクレールの描き方も、いい意味に普通でとっつきやすい姿のクレールの方が、友達になれそうな感じがするのに、きらびやかさが女性の「是」なのかと思う。(子供の頃から、ブロンドのローラの横で引き立て役のようにも見えたクレールの変貌というのが、物語として面白いことはわかる、が)

昔から洋服にあまり興味がなく、いわゆる「女同士の買い物」がいまいち得意ではない私は、それが「女性」なのかねえ、なんてちょっとすねてしまうのだ。
自分自身の女性性や男性性に、考えを向けざるを得なくなる、そんな作品。


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編集・発行:あんどうちよ
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