2011年01月14日

ろくでなし啄木

前回の記事で「昼間に時間があく」とそわそわしていた私ですが、
昼の打ち合わせで急遽取材をすることになるなど、予定が変わって、
結局、「どの映画を…」なんて迷う必要もなくなってしまいました。
まあそんなもんですね。待ち時間が長いのに、本を持っていなかったのが残念。

夜に観たのは三谷幸喜の新作芝居『ろくでなし啄木』@池袋は東京芸術劇場。
女にも金にもだらしがなく、子どもがそのまま大人になったような石川啄木を藤原竜也が演じ、
カフェで働く恋人「トミさん」を吹石一恵、
トミさんにフラれた過去があり二人を何かと世話するテキヤの「テツさん」を中村勘太郎が演ずるという芝居。
啄木が死んで10年。トミさんとテツさんが久しぶりに再会し、3人で過ごした温泉宿での一夜のことを回想する。
その夜に起こった事の真相とは……

物をつくる人間の苦悩と、イメージとギャップのある<器の小ささ>が、
哀しくおかしく描かれて心をつかれます。
あの夜の真相は? というミステリー仕立ても楽しい作りです。

ただ。
他の三谷の芝居と比べると、ミステリーに徹するにはクールさが足りないし、
できればもう少し笑いが多い方がいいかな、それに、
「物をつくる人間の苦悩」や「信頼と友情」ならば、
映画やドラマも含めて三谷が度々取り上げているテーマで、他の作品でのが肝が据わっているかなー、
というのも正直なところです。

値段分は楽しみましたけどね。

3人のなかで芸達者だな、と思わせるのは勘太郎です。声がお父さんにそっくり。
ミステリー仕立てのところもそれを連想させたのかもしれませんが、
藤原竜也演ずる啄木の、勘違いした全能感を抱えて周りの人間を操れると思う子供っぽさは
古畑任三郎シリーズで藤原竜也がやった犯人役のキャラクターによく似ていて、
それが三谷氏の俳優・藤原竜也のイメージなんでしょう。
吹石一恵は凛とした<美しさ>というより<かわいさ>がありました。
舞台で見る宮沢りえを思いだしました。どこが似ている、というわけでもないのですが。

今年は量産体制らしい三谷芝居。
次は1940年代のドイツを舞台にした『国民の映画』を観に行く予定です。



posted by chiyo at 00:04| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 身辺雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月11日

魔法のような時間使い

なかなかメルマガを発行する時間がとれなかったり、
そもそも映画を観る時間がとれなかったりするもので、
そのほか、本が読めない、身体を動かしてない、などなど、いろいろあって、
「上手に時間を使いたい」ってのが、
最近の私のテーマというか懸念事項というか、
“いいネタあったら何か教えてくださいよ〜クイクイ”
みたいなものになっているわけです。

明日、昼過ぎの打ち合わせを終えると、
夜に予約してる芝居までに時間があくから、
水曜日でもあるし(1000円のとこが多い)、
午後から休みってことで映画でも観ちゃおうかと
『白いリボン』『クリスマス・ストーリー』など、
気になっている作品の上映時間を調べたのだけれど、
これがいまいち合わない。
4時間くらい時間はあくのですがねえ、むずかしいもんです。

そもそも、明日映画を観るためには、
今、時間を上手に使って仕事を進めないといけないわけで、
こんな計画を練ったところで、絵に描いた餅、机上の空論。

まあ、こんなところで、餅を描いて机上の空を切ってるより、
その場のいきおいで、目についた映画を観ちゃうとか、
もうちょっと行き当たりばったり、出たとこ勝負、臨機応変
の心がけがないと、上手な時間使いにはなれないのかもね、と
ため息をつく午後です。

素敵な時間使いへの道は厳し。


posted by chiyo at 16:32| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 身辺雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月10日

レアなホームズ、あったらいいなのホームズ

遅ればせながら、ガイ・リッチー監督、ホームズをロバート・ダウニー・Jr、ワトソンをジュード・ロウが演じた『シャーロック・ホームズ』を観ました。
小学校から中学校くらいにかけてシャーロキアンを気取っていた私、ホームズ物にはうるさい、てほどではないけれど、無視はできないのですなあ。公開当時、具体的にはあまりチェックしていないし、よく覚えていないけれど、原作と全然違うとか、そういった理由でわりと不評でしたよね。
昔シャーロキアンだった身として「えー、そうですかー?? 原作に照らし合わせてすごくいいキャラクター設定だと思うけどなー」が第一の感想。アクション映画としてどうとかは、そういうジャンル、あんまり観ないからわかんないから、「全然違う」て言われるキャラクターについてだけですが。

どこがいいかというと。
1.「だめなホームズ」を凝縮して見せてる
すばらしい頭脳と観察眼を持つホームズだけれど生活力はほとんどない。常識を持ち合わせているワトソンがフォローしてなんとかなってるところってのは原作でも随所に出てて、そういう場面を集めたら楽しいだろうと思う。だからオタクでだめなホームズを肥大化して凝縮したキャラクター作りは好き。
原作でも確か、ワトソンは結婚してるのに、ホームズの頼みでベーカー街に舞い戻ってるらしいよね。

2.「友情で結ばれた二人」を表に出す
映画にも出てくるホームズの「押し入り小道具セット」が登場する『チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン』で、万策尽きて悪党ミルヴァートンの家にホームズが押し入ることに決めるとき、『悪魔の足』で毒物の実験をして二人が死にそうになったとき、など。珍しくホームズが友情や熱い気持ちを表に出すシーンが大好きだった。めったにないシーンを何度も読み返したもので、「いいコンビ」なところを凝縮されると、そんなレアシーンを思いだしては私はニヤニヤしてしまう。

3.「二人のかけあい」ってそもそもコミカルで
ホームズシリーズでは、話の枕の部分で、ホームズが観察術を披露してワトソンをからかったりしてることがよくあるけれど、皮肉っぽいホームズとのやりとり、そもそもクールでコミカル。
だから映画の会話が現実離れしてコミカルなのも、エッセンスとしてむしろ原作に近いと思うんだな。話の枕に限らずいろんなシーンに散りばめられてるサービスはありがたい。

そんなわけで、原作の細かいところに潜んでるエッセンス(そのエッセンスの捉え方が私の好みに合ってるってことでしょうが)をうまく入れ込んで、現代的なアレンジをしている素敵なキャラクター設定だと思いましたよ。結果的によくイメージされるホームズ像からは離れてるんでしょうが、隠れた「ホームズのそんなところが実は好き」って要素がぎゅっとつまってて私は気に入りました。アイリーン・アドラーが峰不二子みたいになっちゃうところは、まあご愛敬で。

きっとホームズ物をとても愛している人の発想だろうと想像できて、観ている間とても楽しかった! 続編あったら劇場に行きますよ。
posted by chiyo at 01:58| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | その他映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月30日

No.239 ウディ・アレンの 夢と犯罪

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欧 州 映 画 紀 行
             No.239   10.12.30配信
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フランス映画を中心に、おすすめの欧州映画をご紹介いたします。

★ 夢と欲望 堅実と強欲 紙一重のこわさ ★

作品はこちら
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タイトル:『ウディ・アレンの 夢と犯罪』
(レンタルソフトタイトル:カサンドラズ・ドリーム 夢と犯罪)
製作:イギリス/2007年
原題:Cassandra's Dream  

監督:ウディ・アレン(Woody Allen)
出演:ユアン・マクレガー、コリン・ファレル、ヘイリー・アトウェル、
   サリー・ホーキンス、トム・ウィルキンソン
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■STORY&COMMENT
ウディ・アレン監督がロンドンを舞台につくった第三弾。ロンドン南部に暮ら
す労働者階級のイアンとテリーの兄弟。兄イアンは、父のレストランを手伝い
ながら投資家を目指している。自動車修理工の弟テリーは恋人とマイホームで
暮らすことを夢見ている。
テリーがドッグレースで大穴を当て、兄弟はかねてから欲しかった小型クルー
ザーを共同購入する。イアンは舞台女優アンジェラと恋をし、人生を共にした
いと思う。そんな矢先、テリーがポーカーで大負けをして多額の借金をしてし
まい……

ちょっと頭のよい兄、頭はそれほどでもないけれど優しい弟、仲の良い兄弟だ。
兄は投資でなんとかエグゼクティブ層に入り込むことに憧れていて、弟はつつ
ましやかな幸せを望んでいるように見えながら、ギャンブルで熱くなる癖に周
りは少し心配している。
そんな兄弟がちょっとした歯車が狂って、犯罪に加担していく心理サスペンス
だ。

こわい。

何がこわいって、多額の借金を背負って、人殺しを頼まれる羽目になる、どん
どん追い詰められる様子。
そして、そもそも、兄も弟も望んだことは、よくありがちな陳腐な幸せだ。し
かし、ちょっとしたことで、こんなに追い詰められた状況ができあがる。そん
な人生の皮肉もこわい。
観てる側の心理をいえば、明らかに悪い方に向かっていく兄弟に、気持ち的に
は肩入れしたいが、すれば自分がもろともに悪い奴になる。道徳や倫理観をど
こかで試されている気もする。
だからといってクールに誰にも肩入れせずに観ればいかにも孤独に取り残され、
映画を観るということそのものが苦痛にさえなる。

観客の心理をあやつるという面で、あー、うまいよなあと思ったのは、テリー
のギャンブルシーン。負けが込んで熱くなってその場で借金しながら賭けを続
けるテリーの姿を見て、こっち(観客)は、「おいおい、それはやめないと、
だめだめ」と良識持って心配する。で、次のシーンは翌日。「いい流れがきて
最終的に大勝ちした」という報告をしているシーンがやってくる。
テリーのギャンブルの結末はすべてそうで、負けるところをさんざん見せられ
てハラハラさせておいて、それでも結局はなんとかどうもうまく治まってるら
しい、という形で語られる。そういうシーンがいくつか続くと「ああそんなも
んなのかな、大丈夫なんだな」と傍観している側も思っちゃう。その安心が伏
線のようになって、後の窮地の怖さを増してると思う。

年末年始、はでじゃないけれどしめつけられるような緊張を味わいたい方はぜ
ひ。ただ、心理劇として、しくしくと迫ってくる怖さは一級品だけれど、ミス
テリーとしては、まあ、穴だらけ。だから、そっちに重きを置いて観たらだめ
ですよ。

■COLUMN
このあいだ美容院で話していたら、なんの話からか、お金にガツガツすること
なさそうだもんねー、人を蹴落としてなんて考えないでしょ。なんてことを言
われた。
個人的な話をするわけじゃないので、よく知っているわけではないけれど、長
く通っている美容院で、なんとなく気心が知れてる美容師さん。そういう人か
ら見るとそう映るらしい。
「だけど、人を蹴落としてでもお金もうけるタイプですよね、て言われて肯定
する人もいないと思うけどね」と答えながら「人を蹴落としてお金をもうけら
れるってどんな状況だろう」と考えた。

私だってお金欲しいし、フリーランスだから安定とはほど遠くって、とれると
きにはとっておかなきゃ、な気持ちや、無駄なお金は絶対払わないぞって気持
ちは強いから、決して他の人と比べてがめつくないってことはないと思う。

金に執着しそうに見えるか否かは、性質よりも環境に左右されるんじゃないか。

私はたまたま、誰かを押しのければお金持ちの道が開けるような環境にいない
し(そういう人がどれくらいいるのかわからないけど)、ちょいと頭を使えば
上手に富を手に入れられるような方法も知らないから、そうはならない。
でも、そんな機会があれば、案外わからないんじゃないかな。
ギリギリ食っていけるだけあれば平気、と言えるほど強くないもの。

労働者階級のレストランなんかから抜け出してスマートなビジネスマンになり
たいイアンも、つい賭け事に熱くなるテリーも、高価なアクセサリーが大好き
なイアンの恋人、贅沢でなくても庭のある家で子どもを育てたいと願うテリー
の恋人、お金持ちの兄が自慢でいつも夫と比べている兄弟の母。
この作品に出てくる人は、みんなちょっとずつ「お金が要ること」に無意識に
執着していて、そこがちょっと大げさに映るように描かれる。

でも、この人たちがことさらにお金好きというわけでもない。現代に生きる人
なら誰でも持つささいで他愛のない欲望だと思う。

「がめつい」「お金好き」「拝金主義」「贅沢」「足るを知らない」どう他人
が評価するかは、欲望の源よりも、それを実現するために何を為すかで決まる
だろうか。

「お金にこだわること」はどこまでが「堅実」でどこからが「品がない」なの
か。基準は人にも状況にもよるだろう。きっと考えても答えが出ないんだろう
けれど、そんなことをついついいつまでも考えちゃうもんだよなと、思う年の
暮れ。お金で神経をすり減らさない年を迎えられますように。

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★すっかり配信をさぼった1年でしたが、(今数えたら今日が14回目でした)お
世話になりました。以前のように週1回は無理かも知れませんが、来年はもう少
したくさん観て書こうと思います。
2011年もどうぞよろしくお願いいたします。皆さまよいお年をお迎えください!
---------------

編集・発行:あんどうちよ
筆者について http://mille-feuilles.hp.infoseek.co.jp/cinema/about.html
日々のつぶやき・twitter: http://twitter.com/chiyo_a

リンクは自由ですが、転載には許可が必要です。
一部分を引用する場合には、連絡の必要はありませんが、
引用元を明記してください。

Copyright(C)2004-20010 Chiyo ANDO

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2010年12月20日

No.238 シャネル&ストラヴィンスキー

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欧 州 映 画 紀 行
              No.238   10.12.20配信
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たーーいへーーんに、ご無沙汰しております。
ヨーロッパの映画を紹介いたしますメールマガジン「欧州映画紀行」です。
みなさん、お元気でいらっしゃいましたか? 
前の配信から時間が経ったので、「まぐまぐ」さんからは、
最近、発行してないけどどうしたんですか? てなメールもいただいてしまい。
だからってわけではないのですが、久しぶりの配信です。

★ 流れから読むでなく、ただそこにある感情を凝縮して ★

作品はこちら
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タイトル:『シャネル&ストラヴィンスキー』
製作:フランス/2009年
原題:Coco Chanel & Igor Stravinsky 

監督・共同脚本:ヤン・クーネン(Jan Kounen)
出演:アナ・ムグラリス、マッツ・ミケルセン、
   アナトール・トーブマン、エレーナ・モロゾーワ
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■STORY&COMMENT
1913年パリ。ストラヴィンスキー「春の祭典」の初演は、あまりにも革新的で
受け入れられずヤジが飛び交った。観客の中にいた、ココ・シャネルはその新
しいスタイルに共鳴していた。
それから7年。有名デザイナーとなったシャネルは、家族と共にパリで亡命生活
を送るストラヴィンスキーと出会う。彼の才能に惚れ込んでいたシャネルは、
住まいの提供と経済的援助を申し出る。同じ屋敷に暮らすうち、二人は恋に落
ちて……。

シャネルが主人公となる映画がトントンと同時期に作られた。どういう事情な
のか、調べ損ねたのだけれど、そんな「シャネル物」のひとつ。作曲家ストラ
ヴィンスキーとの情事を題材にした作品だ。
ココ・シャネルとストラヴィンスキーが恋愛関係にあったことは事実だが、そ
う何度もくり返し関係を続けたわけではなく、その点はフィクションらしい。

切り口はいろいろあると思うのだけど、私がこの作品でいちばん心に残ったの
は、物語の「流れのなさ」だ。
これは、私がそう感じた、というだけで、作り手の意図とは全く違うかもしれ
ない。

ココ・シャネルとストラヴィンスキーは、惹かれ合って一度寝た後、逢瀬を重
ねていくのだが、その重ね方に、時の流れを感じないのだ。たとえば、一度目
よりも二度目が親密に、三度目には軽口を叩くこともあるとか、そんな流れ、
二人の心の移り変わりを今ひとつ感じられない。
そうした描き方に、はじめは違和感があったのだが、だんだんと、こうして、
流れや組み立てとは関係なく、<その場>、<その時>の感情をクローズアッ
プするのが面白いところだと思うようになった。

もちろん、破局に近い頃には、シャネルの冷たい拒否があり、二人の恋愛のは
じまりから終わりに向かう流れはある。しかし、二人のシーンは刹那的に捉え
られ、過去も未来もなく、<その時>をぎゅっと凝縮して捉えられている。前
のできごと、周りのできごとから必然的にもたらされる何かではなく、その瞬
間に存在する感情をぐっと差し出している。
前に伏線があって、次にこのシーンで誰かの気持ちを理解するということが、
ない、とは言わないけれど、ほとんどない。

誤解を恐れずにいえば、なんなら、ひとつひとつのできごとをシャッフルして
ランダムに並べたって、作品としてまとまるんじゃないか。
二人の情事だけじゃない。たとえば、ストラヴィンスキーの妻が、二人の関係
に気づきながら、考え事をするとき、ひたすらその時の不快な気持ちを、表情
のアップでぎゅっと凝縮して伝えられる。それは、心の移り変わりや、経緯の
流れを汲んで伝わるものじゃなく、<今その人が抱えるもの>として、ぎゅっ
と提示されるもの。

いわゆる「感情移入」をしたがる観客には、ちょっとドライな印象を与えるん
じゃないかと思う。感情移入は、物語の組み立てで、一つ一つの台詞に意味が
のって、なされるものだから。
でも、こんな描き方も面白い。感情を、移り変わりでなく、そのもの「生」で
捉えると、こんな風になるのかいね、というのが、私が見るところの、作品の
大きな魅力だ。

■COLUMN
こうした実在の人物を扱う作品に出会うと、残念なのが己の知識のなさである。

モードに詳しければ、シャネルの逸話やシャネル役のアナ・ムグラリスの衣装
について、作品を重厚に見られるような豆知識をプレゼントできるし、クラシッ
ク音楽に詳しければ、「春の祭典」初演の逸話、初演以外での「春の祭典」、
現代における「春の祭典」についてや、ストラヴィンスキーのここには出てこ
ないエピソードを語ることもできるだろう。

いや、しかし悲しいことに、私はどっちにも造詣深くあらず。

特に、「春の祭典」初演の再現シーンは、この作品のもう一つのテーマといっ
てもいいくらいに力を入れたものだろう。ニジンスキーの斬新なバレエ振り付
け、アースカラーの地味な衣装、不協和音と観客の野次と足踏みの合わさった
音。
作品の冒頭、まだ観る側のテンションがじゅうぶんに上がりきらないうちにやっ
てくる、スケールの大きな「春の祭典」初演シーン。ちょっと心して気持ちを
高ぶらせて集中して観るといいと思う。

うんちく、雑学、感想、解釈……もっと語れたらかっこいいのにねえ。

「欧州映画紀行」発行者としては、それだけではいかにもつまらない。
今までに紹介した作品から、今回の作品とリンクして考えられるような話を二
つ、おまけにくっつけよう。

まずはその「春の祭典」。
ベルリン・フィルが、子どもたち(思春期にあたる子どもも含め)を集める教
育プロジェクトを描いたドキュメント『ベルリン・フィルと子どもたち』では、
総勢250人の子どもが、「春の祭典」を踊る。まったくやる気のなかった子ども
もいるなか、しだいに表情に変化が生まれ、ひとつのプロジェクトとして演し
物がかたまっていくさまには、高揚感も覚える。広い意味でアートの力を見せ
てくれる作品だ。
http://mille-feuilles-hp.web.infoseek.co.jp/cinema/back/film086.html

もう一つは、ストラヴィンスキーを演じたマッツ・ミケルセンについて。
お気に入りの俳優というのが、それほどいない私だが、このデンマーク人マッ
ツ・ミケルセンは気に入りの俳優と言えるだろう。ふだんは観ない「007」シリー
ズに、この人が悪役で出演したから(『007/カジノ・ロワイヤル 』)とわざ
わざ観る程度には好きな俳優だ。
この俳優を初めて観たのは、『しあわせな孤独』というデンマーク映画だ。自
分の気持ちをどうにもできず、新しい恋人にはまってしまう医師の役がぴった
り合っていた。冷血な悪役よりも、女にずぶずぶはまっちゃうインテリ役をや
るこの人が私は好きだなあ。
http://mille-feuilles-hp.web.infoseek.co.jp/cinema/back/film034.html

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『シャネル&ストラヴィンスキー』¥ 3,263
http://amzn.to/gOj5w6

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★未定ではありますが、年内にもう1本配信したいと思っています。
最近、ちょっと映画鑑賞から遠ざかっていたので、情報に疎くなっておりまし
て。とりあげてほしい作品があったら、ぜひリクエストをお願いします。
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感想、質問、リクエストなど、なんでもお待ちしております。

編集・発行:あんどうちよ
筆者について http://mille-feuilles.hp.infoseek.co.jp/cinema/about.html
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2010年10月28日

No.237 ずっとあなたを愛してる

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欧 州 映 画 紀 行
               No.237   10.10.28配信
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★ 笑顔の増えていく風景 ★

作品はこちら
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タイトル:『ずっとあなたを愛してる』
製作:フランス/2008年
原題:Il y a longtemps que je t'aime 英語題:I've Loved You So Long

監督・脚本:フィリップ・クローデル(Philippe Claudel)
出演:クリスティン・スコット・トーマス、エルザ・ジルベルスタイン、
   セルジュ・アザナヴィシウス、ロラン・グレヴィル、
   フレデリック・ピエロ、リズ・セギュール、ジャン=クロード・アルノー
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■STORY&COMMENT
15年の刑期を終えて出所したジュリエットを妹のレアが迎えに来た。ぎこちな
く再会の挨拶を交わし、レアの家に向かう。レアは夫と二人のベトナムからの
養女、夫の父と暮らす。
ジュリエットの罪は自分の幼い息子を殺したこと。レアは両親に姉との断絶を
命じられていた。納得できないまま成長したレアは長年の音信不通を埋めよう
とするが、ジュリエットは心を閉ざしたままだ。

刑期を終えて出てきた知り合いというものが私にはいないので、通常どのよう
な状態になるのか、よくわからない。だが、その真相をほとんど語らないまま
に息子殺しで刑に服し出所してきた人を、周りが気味悪がったり、警戒したり
することは想像に難くない。
本人に面と向かっては言わないものの、レアの夫リュックは、義姉の滞在を快
く思わず、ジュリエットがやってきてからというもの、寝室では言い争いが絶
えない。
そんな状況の中でレアがあえてしばらく家に滞在させようというのは、きっと
運のいいことであるのだろうけれど、ジュリエットはそのレアに対してさえ、
微笑もうとはしない。

レアに姉がいるというのは周りにも言っていなかったので、同僚や友人達は興
味津々にジュリエットが今まで何をしていたのか尋ねようとする。ジュリエッ
トはますます殻にこもり孤独に振る舞う。

観客も、この物語がどちらに行くのか、どちらってのはつまり、ジュリエット
が新しくつつましくも温かい人生を歩む方に行くのか、それとも実はやっぱり
殺人鬼でまた新たな悲劇を起こすのか、てことだけども、不安を抱きながら観
ることになる。
レアの娘プチ・リスが「日記を読んで」とせがむところに急に怒鳴りつけると
ころではどうなっちゃうんだろうと、こわごわ物陰から観たくなってしまった。

だから、この部分も本当は言わない方が面白く観られるんだけれど、言わない
と何も書けなくなってしまうから「ネタバレ」すると。
これは、そんなにもすさんで、心を開かずにいるジュリエットが、少しずつ少
しずつ、がちがちになってる心をとかし、不安を解体し、笑顔を増やしていく
物語だ。
はじめは彼女を怖がったり、存在を怪しんでいたプチ・リスもピアノを教えて
もらったり、本を読んでもらったりを喜び、なついていく。もしくは、プチ・
リスがなついていったから、ジュリエットの回復も助けられたとも言える。プ
チ・リスが日記を取り出したときに、なぜあんなにも怒ったのか、それは終盤
でわかる。

その終盤では、ジュリエットがなぜ自分の息子を殺してしまったのか、も判明
する。
正直言うと、その種明かしはちょっと納得いかない。そういう事情ならば、殺
めて自分の中にしまい込んで、周囲を何年も辛い思いをさせることはなかった
のではないか、他の方法があったのではないかと思って。でも、人はいつも合
理的な行動をするわけではないだろう。
種明かしがどうであれ、少しずつ心を開いて、穏やかな佇まいと楽しい笑顔を
増やしていく、ジュリエットの変化の美しさが損なわれるものではない。

■COLUMN
人が再生して少しずつ上向きになっていく物語は好きだ。少しずつ崩壊していっ
て最後めちゃくちゃになる物語もいいいけれど、その場合にも主人公は前を向
いて歩いていって終わって欲しいと思う(たとえば風と共に去りぬのように)。
もちろん例外もあるけどね。

きっと多くの人がそんな物語が好きだと思うけれど、それは己を投影させやす
いからだろう。一歩引いて「面白い」と言っているよりも、己にも降りかかり
うることと思ったら物語に愛着がわく。

そして人は、どんな幸せな今を歩んでいようとも、つねに新しいスタートが切
れたら、新しい何かに出会えたら、新しい自分になれたら、と思っているから
だ。成長する自分と言い換えてもいい。新しい人生の一歩を踏み出した人を眺
めるのはすがすがしい。こういう物語への自己投影が心地よいのは、新しい成
長を夢想できるからだ。
もちろん他の要素もあるけどね。

私が今どうしても切りたい新しいスタートは、「もっと時間を」!「もっと要
領よく」!
メルマガが滞りがちなのにも表れるように、今、私はなんだか時間が足りない。
主に仕事が立て込んでることが多いからだけれど、深夜まで仕事をしていたり、
土日も働いているわりに、そうそう儲かっているわけでもなし。
世の中には家事をこなし、子を育て、かつ毎日働いている人だっていくらでも
いるのに、家事はほっぽりだし、子なし、なのに好きな映画ひとつ本一冊読め
ずに、ひーこら仕事をしている私は、まあ要するにやることが遅くて要領が悪
いだけなんだが、こりゃあ何とかしないといけないな、と。

根がダラダラしていて、土日がきっちり休めなくても、夜に仕事が食い込んで
も、毎日少しずつ自分で調整ができる方がいいと、フリーで働くスタイルは合っ
てたはずなんだけども、その「自分で調整」てやつができなくなってるのだ。
ダラダラメンタリティで何とかなってる間はいいけれど、それがストレスにな
るんなら、ちょっと考えた方がいい。読んだことないビジネス書でも読んで、
「仕事の効率的なやりかた」とか「時間マネジメント術」とか学んだ方がいい
のかな、と思いながら、結局、どうすっか、と天を仰いでいるだけのテイタラ
ク。

何とかしなけりゃな、と思うのは、健康に生活し続けるため、というのもある
んだけれど、何より「焦り」からだろう。好きなはずの映画を観たり、本を読
んだり、それについて何かを書いたり、それをしないでいるうちに、好きなは
ずのものをこぼしてなくしてしまうのではないか、好きと言うのもおかしいほ
どに無知になるのではないか、そんな不安が強い。
そんな不安に陥るたびに、人間そうそう、好きなものや大切なものをきれいさっ
ぱり落っことしはしないさ、と自分をなぐさめる。

ジュリエットも、彼女はまったく新しい誰かに変わったわけじゃない。15年の
刑務所生活、出所してからの出会い、そうしたもので変わったところはあるだ
ろうけれど、元来持っていた彼女の聡明さ、神経の細やかさを取り戻して、そ
こをベースに彼女はちょっとずつ変化したのだ。

思うように自分が変わるのは難しいのかもしれないけれど、ま、少しずつ。う
まいこと自分の好きなものとよい関係を築けるだけのコツを見つけられたらな。
そんな近況です。今後ともよろしく!

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編集・発行:あんどうちよ
筆者について http://mille-feuilles.hp.infoseek.co.jp/cinema/about.html
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ラベル:フランス
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2010年10月06日

風邪っぴきの生活改革

風邪っぴきでごんす。

寝込まないといけないほど高熱ってわけじゃない。でも寝た方がそりゃあ楽だしよくはなるだろうねえ。けど一晩寝たらすっきりというほど、ことは単純じゃない。ああ大人ってややこしい。

大人だし、自営業だし、風邪ひいたからと言って、だれも代わりに何かをやってくれるわけじゃなし。ちょっと気弱になってアタックNo.1のテーマ(のセリフ)も流れちゃうってもんです。

なんて日常は置いといて、ちっとも書いていない映画のメルマガ(の言い訳)ですね。

このあいだ、『ずっとあなたを愛してる』だったかなあ、そんな冬彦さんが出てきそうな感じの邦題のフランス映画を観ました。原題は Il y a longtemps que je t'aime 確か。風邪ゆえググる元気がないの、ごめんあそばせ。

長年刑務所にいた姉と彼女を引き取った妹家族の話。ラストの方で納得のいかない部分も少しあれど、不安や疑心が少しずつ溶けて、笑顔の増えていく様子がすてきな映画でした。次はこの映画を題材に書きたいと思っています。今月中には、きっと!(笑)

しかしねえ。

根がダラダラした性質なので、メリハリをつけるよりは、完全休みの日はなくっても常に仕事を抱えて毎日タラタラ少しずつ進めていく方がラクで、そうしてたんですが、こう仕事がエンドレスになってくると、仕事の進め方とか、一本書くのにかける時間とか、生活時間帯とか、抜本的に見直さないといけないかなーなんて、思ってます。
何しろ根がこんななので、すぐに見直そうにも面倒で、来年の課題にしましょうかね。

それでは皆さん、お身体お気をつけて。
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2010年09月13日

No.236 倫敦から来た男

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欧 州 映 画 紀 行
               No.236   10.09.13配信
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すっかり気が向いたときに配信するメルマガとなっていてすみません。
どうぞお気軽に気が向いたときに読んでいただければ、と思います。

「ここじゃない何処か」に行ってしまいたい、あなたのための映画案内。
週末は、ビデオ鑑賞でヨーロッパに逃避旅行しませんか?
フランス映画を中心に、おすすめの欧州映画をご紹介いたします。

★ 不安と緊張の伝染するメタリックなモノクロ ★

作品はこちら
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タイトル:『倫敦(ロンドン)から来た男』
製作:ハンガリー・ドイツ・フランス/2007年
原題:A Londoni férfi  英語題:The Man from London

監督・共同脚本:タル・ベーラ(Béla Tarr)
共同監督:フラニツキー・アーグネシュ
出演:ミロスラヴ・クロボット、ティルダ・スウィントン、ボーク・エリカ、
   デルジ・ヤーノシュ、レーナールト・イシュトヴァーン
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■STORY&COMMENT
大型客船が出入りする港。船を下りた客たちは、向かいに着く鉄道に乗り換え
ていく。その鉄道の制御所で夜勤をするマロワンは、ある日、男たちが言い争
い、一人が海に突き落とされるところを目撃してしまう。突き落とされた男が
持っていたトランクを海から引き上げてみると、中には札束が……。
平凡な庶民がうっかり大金を手にしてしまったために、心理的に追い詰められ
る様子を描く。
原作は『メグレ警視』シリーズなどで知られるジョルジュ・シムノンの小説。

モノクロ映画である。白黒の映像は、往時に使われたものとのイメージから、
懐かしい感情や、レトロで人間らしい感覚を呼び起こすことがある。しかし、
この作品の白黒は、DVDで観ている影響も大きいだろうが、懐かしさよりも、メ
タリックな、つんと冷えたイメージが強い。そこに、ものや人間を正面から、
時には真後ろから、じっとなめ回すようにする視線がプラスされて、冷たく硬
い視線がしつこくまとわりつく、不思議な質感の映像だ。

そんな質感は、内容の「ハードボイルドな雰囲気」という前提とともに、明ら
かに犯罪が絡んでいる金を拾ってしまった主人公の心理を描き出すために選ば
れたのだろう。
金を手に入れると、何か力を持ったような気になる。勤め先で意に染まぬ使わ
れ方をする娘を連れ帰ろうと考えるのは、金があるならそこまで大きく出たっ
ていいだろうと、マロワンに勇気を持たせるのか。
しかし、海に仲間を突き落としたらしい男が家までつけてきたことに気づくと、
不安と緊張に押しつぶされそうになって、家族にあたり散らす。ロンドンから
腕利きの刑事がやってきて、もはや犯人が捕まるのも時間の問題だと思うと、
またもや少し気が大きくなって娘に高価な毛皮を買ってやる。だが、腕利きの
刑事が尋問にやってくれば、新たな不安が生まれ……
マロワンの動揺の振り幅が大きいから、トランクを拾ってからずいぶんな時間
が経ったように思いがちだが、ほんの2日ほどのできごとだ。

やばい荷物を拾って自分のものにしようかと欲が働いたばかりに、平穏な暮ら
しを失ってしまう様子からは、見ているこちらにも不安と緊張が感染する。
138分とやや長めの上映時間の、かなり序盤から不安と緊張にさらされて、ここ
からどうなるのだろうと、ハラハラしたのだが、少しずつ状況と感情が異なり
ながら、全編そんな調子だった。
追い詰められる心理を冷たくしつこく描き出す世界、興味のある人はぜひ。

物語から少し離れたことを言えば、私は、斜めからじっとものを見る、真後ろ
からじっと人を捉える、そんな決してふだんはないであろう視線が気に入った。
通常は無理なことだと思うけれど、(社会生活があるので)こんなものの見方、
捉える視線を手にしたならば、いつもの世界がまったく別に見えるんじゃない
か、一度やってみたいと思った。
しかし、そんな決してふだんはないような視線があるから、平凡な生活が急に
追い詰められる主人公の切迫した状態が伝わるんであって、上の感想も決して、
物語から離れたものではないんだなあ。


■COLUMN
拾いもの。
怪しいアタッシュケースを見つけたこともないし、竹藪をつついたら札束が出
てきたこともない。1000円、2000円といったちょっとしたお金はもちろん、駅
で定期券を駅員さんに預けたことがあるくらいで、拾いものとはおそらく縁が
ない。
今まででいちばん面白い「見つけもの」は、空き地のど真ん中に落ちていたボ
ウリングのボールだろう。「なんでこんなところにボウリング」としばし眺め
ていたけれど、持ち帰るのも重いし、昨今のように、写真を撮ってTwitterで
「不思議な落とし物w」なんてつぶやくこともできないので、何ともできずにそ
のまま放置して通り過ぎてしまった。
私の友人には、なぜか通り道に捨てられた猫が置かれていたり、瀕死の犬が目
の前に倒れていたりするという人もいるので(彼女はその度拾う)、拾いもの
には縁がないままでいいとも思う。

そうは言っても大きな大きな拾いもの。やっぱり一度はしてみたい。
川っぺりを散歩していたら、現金入りのアタッシュケースとか、犬を散歩させ
ていたら(ちなみに犬は飼ってない)ここ掘れワンワンと言われて掘ってみた
ら大判小判がざっくざくとか?
ああ、拾いものに縁なき者の悲しい発想の貧困さよ!

札束はきっと重量があるし、それを持って警察まで行くのは大変。まずはその
場で写真を撮ってお巡りさんを呼んでくるが正解か? しかしその間に忽然と
姿を消していたら?(そういうものだ、映画やドラマでは)
大金取得となるとインタビューを求められる?しかし、後々自分のものになっ
たときに、身元がバレるとあぶないから、インタビューは断ろう、モザイク入
れるとかもナシだ!

……と、ないことないこと、あるはずないことばかり。妄想は続く。
大きな拾いもの、マロワンのように隠れてがめようとしなくても、やっぱりし
ないに超したことはないみたい。
この数分の妄想ですっかり疲れた私が保証しよう。

うっかり大金を拾ったときの心の準備、してますか〜?


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★DVD
『倫敦(ロンドン)から来た男』¥4,454

価格は2010年9月12日現在のアマゾンでの価格です。
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★コメントくださった方へご返信
みほ さま
すーっかり遅れた返事で申し訳ありません。
これを読んでくださってるとよいのですが。
当blogを見つけてくださってありがとうございます。
『ウェディング・ベルを鳴らせ!』は、音楽も気に入ってくださったとのこと。
うれしいです。
最近、私は映画を観る時間がとれなくて困っています。
みほさまのおすすめ作品がありましたら、どうぞ教えてくださいね。

★本日のメルマガ、気に入ったらクリックを! コメントもぜひ。
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感想、質問、リクエストなど、なんでもお待ちしております。

編集・発行:あんどうちよ
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ラベル:フランス
posted by chiyo at 18:51| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画メルマガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月31日

横暴な人の傍らにいあわせたなら

「子どもがうるさいので電車降りてくれませんか」と言って親子連れを電車から降ろした女性の話が話題になってるらしい。
http://youpouch.com/2010/08/31/110031/

細かい状況はわからないし、子供の騒ぎようも親の注意でなんとかなるレベルで、親子が明らかにマナー違反ということも可能性としては考えられる。
だけど、まあ、もとにTwitterに書き込んだ人が、女性の勝ち誇った顔に嫌悪感を持ったことから判断しても、この女性が横暴なんだろう。仮に本当にうるさいんだとしても、降りろというのは筋違いだ。

で、私がつい気になっちゃうのは、この横暴な女性のことじゃなくて、周りの人の中に「そんなの横暴だ」と、親子が降りるのをとどまらせようとした人はいないのかってことだ。
『いじめでは傍観してる人も「加害者」だ』て考え方は広まってるらしいけど、この場にいた口をつぐんだ大方の人は、どうなんだろう。

別に私は周りの人を責めてるんじゃない。たぶん私がその場にいたら「うわっ、めちゃくちゃなこと言う人だな」て思うけど、それを制止することも口出しすることはできなくて、きっと後からぐじぐじ悩むだろう。たぶん、Twitterで報告することくらいしかできない。

変なことをいう人、横暴な人はどこの世界にも一定数いるもので、そういう人の発生を食い止めるのは無理なことだと思う。世の中のもうちょっとまともな意識を持った人がそういう人をなんとかしてくことになる。それが機能しないと、声の大きい人、力の強い人に引きずられて世の中どんどん暴走する。
だから、たとえば泣く子どもは電車から降ろせと暴言を吐く人間がいても、その場で「そうじゃないでしょ」と意見する人が出てくる社会なら希望がある。

この女性が強い態度でそんなことを言えるのは、おそらく、「うるさい子供は通勤電車に乗せるな」という考えに<正義>があると思っているからであり、どうしてこの人はそんな考え方をしてしまうのか、は考える必要がある。
が、それ以上に考えた方がいいのは、無茶を言い出す人がいたら、「そうじゃないだろう」と、他人でもその現場でたしなめることのできる社会にはならないのか、てことじゃないかな。

難しい、ことだけどね。

posted by chiyo at 19:18| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 身辺雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月12日

近況と見通しとその他映画と

ご無沙汰しております。
猛暑だったり台風襲来だったり、
心地よいお天気とはほど遠いここ東京ですが、
皆様のお住まいの地域はいかがでしょうか。

さて、あんまり更新していないと忘れられちゃっても寂しいので、
近況報告と、今後のメルマガ配信の見通しなんぞを。

最近の私、すーごく忙しいというわけでもないのですが、
映画を1本観て、何か書く、というまとまった時間がとれなくって困ってます。
なんて言いながら、サッカーを観に行ったり、舞城王太郎の新作を読んだりはしてます。
舞城の新作『獣の樹』は、まだ途中なんですが、
特別な生まれ方をした主人公が「社会性をもった人間」になる過程を追うのが楽しい小説です。
それ以外の要素もたくさんあって、
こう一言でまとめてしまうと、作品のイメージと全然違ってしまうと思いますが。

その他、今積んである本は
『小さいおうち』中島京子
『悪貨』島田雅彦
『4444』古川日出男
などなど。
ネット書店のカートに入れっぱなしの物が
『尼僧とキューピッドの弓』多和田葉子
『結婚失格』(文庫)枡野浩一
『period 4』吉野朔実
図書館に予約しているのが…、て、もういいですね。

私のペースで今年中に読み終わるでしょうか。

次回のメルマガに向けて、観たいなと思っている映画が、
倫敦(ロンドン)から来た男』。
サスペンスを観たい気分です。
作品情報を探すと、ヨーロッパというより、無国籍の雰囲気なのかな。
気に入ったら、もしくは、これで書きたいなと思ったら、
こちらの作品で、次回の配信をしたいと思います。
いつ頃になるかなー。来週中には配信したいけれど、
来週は外出の日も多くなるので、うーん。
ま、なるべく早めに考えております。


さて、このblog、一応映画のblogなので、
世相と映画をリンクさせた話題もひとつ。
昨今の、100歳以上のご老人の所在不明ニュースをみながら、
思い出したのが、カナダのケベック、フランス語圏の映画、
『大きなる休暇』
だいぶ前に観たので、うろ覚えなのですが、
漁業が衰退した小さな島が舞台。冬眠はほとんどが失業中。
そこへ、工場誘致の話が舞い込む。
しかし、誘致には「島に医師がいること」という条件が。
定住する医師を呼び込もうと、あの手この手、都会から招いた医師に、
島民みんなで島を暮らしやすい素敵なところにみせる大芝居を打つ。
そんな、ばれそうになっては必死にうそをとりつくろうシチュエーションコメディなんだけれど、
昨今のニュースに関連するのは、この作品の冒頭。
島民がほとんど失業保険で暮らしていて、
さらに死んだじいちゃん(だったかばあちゃんだったか両方だったか)の年金も毎月の大事な収入源になってるところ。
まずはここで観客の笑いを誘う、しっかりした「つかみ」になってます。
(ずいぶん昔に観たのでいろいろ勘違いしてるところはあるかもです。)
しかし、現実に起きてしまうと、笑い事にはならないもんだなー、と。

ケベックのフランス語圏映画といえば、『みなさん、さようなら』も好き。
他の作品はあまり知らないけれど、今度時間があったら何か探してみようかしら。

さて、そんなわけで、私の近況でした。
なるべく早く映画レビューは再会しますよー。
夏休み真っ最中の方も、休み、ナニソレ、な方も、
体を大事に、いい夏にしてください〜。


posted by chiyo at 13:59| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 身辺雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする